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知る

概要(矢部川について)

流域の詳細

上流部:豊かな自然が息づく
 源流から花宗堰までの上流部は、急峻山地となっており、川は山間部を縫うように流下しています。神々の伝説を秘めた日向神峡の景勝地や日向神ダム、国の天然記念物に指定されている黒木大フジを目当てに、例年多くの観光客が訪れます。
 また河床は、礫・岩で形成され、河畔林と、瀬・淵が連続する美しい渓流環境を呈し、水際にはツルヨシが繁茂し、水域には、カジカやサワガニ等が生息しています。



中流部:クスノキ林とゲンジボタルの
 花宗堰から瀬高堰までの中流部は、扇状地に広がる田園地帯や点在する市街地を貫流し、船小屋温泉と接近する中ノ島公園を中心として、子供の水遊びの場や遠足・写生大会などに利用されています。中ノ島公園は、天然記念物であるクスノキが多く茂り、近隣住民のみならず、隣接する温泉地を訪れる人々の散策に利用されるなど、地域の憩いの場となっています。
 河床は、礫、砂で形成されています。花宗堰から船小屋までの水際にはヨシやツルヨシ群落が、河岸にはクスノキ林や竹林等の河畔林が帯状に分布し、水面を覆っています。水域には瀬や淵が形成され、淵には河畔林からの落下昆虫や小魚等を餌とするカワムツ等が生息し、瀬はアユ等の産卵場となっています。川幅は変化に富み、細流はワンド等が形成されています。
 また、堤外地の水田と河川との連続性や、堤内地のクリーク網と河川との連続性等、多様な水域の連続性も見られ、カワニナやゲンジボタル、タナゴ類等が生息・繁殖しています。特に、樹齢300年を超える新船小屋のクスノキ林やその周辺のゲンジボタル発生地は国の天然記念物にも指定されています。船小屋から瀬高堰までは湛水区域となっており、高水敷にはヨシ等のイネ科草本の大規模な群落が見られ、オオヨシキリ等の草地を好む鳥類が生息しています。

下流部:独特の河川景観を持つ
 瀬高堰から河口までの下流部は、沖積平野や干拓地に広がった田園地帯を緩やかに蛇行しながら有明海へと注ぎ、国内最大の干満差による影響を受け、 汽水域や、河口を中心に干潟が形成されています。クリークの水を使った農業が営まれると共に、有明海のノリ養殖をはじめとする漁業の町として、多くの漁船が矢部川を行き来しています。
 汽水域には、有明海流入河川特有のアリアケシラウオ等が生息しています。
 水際にはヨシ群落が分布し、貴重な塩生植物群落も見られ、河口付近の干潟には、ムツゴロウ、ハラグクレチゴガニ等が生息・繁殖し、それらを捕食するシギ類等の水鳥が訪れています。
 また、近年、オオキンケイギク等の特定外来生物が確認されており、生態系等への影響が懸念されています。

●矢部川の写真は「写真館:空から見た川」にてご紹介しています。
●矢部川の洪水・治水事業の歴史は「学ぶ・調べる:歴史(筑後川・矢部川)」にてご紹介しています。
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