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概要(有明海岸について)

有明海岸の計画

■有明海岸保全事業の計画概要
有明海の湾奥部に位置する有明海岸は、その背後に日本有数の穀倉地帯である佐賀平野および白石平野をひかえ、人口約30万人(昭和45年)におよぶ佐賀市、鹿島市等2市14町の都市を擁しています。

当海岸は筑後川、六角川等大小河川より流送きれた土砂が、有明海特有の6mにもおよぶ大干満差による潮汐作用により海岸域に堆積し、干潮時には沖合約10kmにも達する干潟が形成されます。このため古くから干拓が行なわれ現在も干拓によって海岸線は海へ延び続けています。また有明海沿岸はノリ養殖場としても有名です。

九州は台風の常襲地帯に位置しているため、当海岸はこれらの台風による高潮が頻繁に発生し、その都度背後地は大きな被害を受けてきました。大正2年9月1日発生の高潮では死者349人の多きにのぼる大惨害を被り、また最近における高潮被害では昭和31年8月の台風9号が特記されます。この時の潮位偏差は、筑後川の紅粉屋で2mを越え、海岸堤は各所で破堤し、死者・行方不明2人、住家の全壊・流失111戸、浸水1、592戸、耕地の流失・埋没7ha、冠水2、544ha、船舶の沈没流失107隻にも達しました。

他方、昭和34年9月の伊勢湾台風は、伊勢湾沿岸一帯に高潮による古今未曽有と称される壊滅的打撃を与えました。これを契機として、有明海岸においても昭和35年4月筑後川河口右岸より鹿島地区海岸に至る海岸保全区域61.5kmのうち25.1kmが直轄海岸事業区域に指定されました。これに伴い、建設省では、これらの区域において、海岸堤防の腹付かき上げを主体とした工事を推進してきました。その後の事業の進展により、平成16年4月には直轄海岸事業区域は、8.8kmに変更され現在に至っています。

有明海岸保全事業は、下に示す計画諸元により実施しています。

計画諸元
基準潮位 T.P. 2.72m 波高 2.32m
偏差 2.36m 余裕高 0.10m
計画潮位 T.P. 5.08m 天端高 7.50m
海岸堤防標準断面図
■多くの地名に”搦(からみ)”が付くのは?

有明海沿岸には、搦(からみ)という字が付いた地名がたくさんあります。

昔、干拓堤防を築く方法として、堤防にする場所に丸太杭を打ち込み、その杭に木の枝や竹などを絡み付け、満潮の時に潮といっしょに運ばれてくる土砂を、その場所に堆積させました。その自然の力によって、杭周辺の地盤が満潮位近くまで高くなったところを付き固めて、それから上へは人力で堤防を高くしました。

搦とは、「縄が木にカラみつく」という意味です。このようなことから、多くの干拓地を”○○からみ”と命名するようになりました。先人の知恵には感心させられますが、干満の差が大きい有明海だから可能な工法でもあります。
ほかにも、籠(こもり)など、干拓の歴史を物語る地名が、有明海周辺の各地に残っています。

搦(からみ)の地名地図

事例:東与賀海岸の干拓の歴史
東与賀町海岸の干拓推移図
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